新卒採用

新卒採用のクロージングマニュアル

こんにちは。株式会社リーディングマークの奥田と申します。

現在は採用支援事業の新規事業担当をしております。これまで法人営業として、コンサル、最大手メーカー、インフラ、スタートアップ等の企業様への採用支援や、学生に対する企画・マーケティングを担当してきました。

また、社内の新卒・中途採用チームで、プロジェクトオーナーや現場のリクルーターを務めた経験もあります。

今回は、採用プロセスの最重要項目「クロージング」について解説していきます。

クロージングとは「候補者が自社に内定承諾してくれるよう導く」ことです。今は23卒の選考が山場を迎えていて、採用側はクロージングをしっかりできるかが重要な時期になってきます。

この記事がクロージングするにあたってのヒントとなれば幸いです。

本記事では、次の3点について解説していきます。

  • クロージングとは何か?
  • 候補者がどうしたら内定承諾するのか?
  • クロージングのポイント

※学生のクロージングの改善方法や承諾率改善について詳細ご相談の際は、以下よりお問合せください。
お問合せページ: https://www.recme.jp/for-company/

クロージングとは何か?

クロージングは、応募者が内定をもらってから入社を決定するまでを指すことが一般的です。

いくらクロージングまでのプロセスがうまくいっても、クロージングができないと最終的な結果にはつながりません。クロージングが重要項目である理由は、そうした点からきています。。

主流の採用プロセスは以下のとおりです。。

採用のプロセス
(計画)

  1. 接点形成(touch point)
  2. 興味喚起(attract)
  3. 選考(screening)
  4. 入社決定(closing)
  5. フォロー
  6. 入社

まず、接点形成ではなんらかの形で会社に接触してもらい、会社のことを知ってもらいます。

次の興味喚起(アトラクト)では、会社を好きになってもらう取り組みが必要です。「好きになってもらい、応募してもらう」という部分が、アトラクトに含まれます。
そして選考(スクリーニング)を経て、最後に入社決定(クロージング)を迎えます。応募者に決めてもらう段階になるわけです。

厳密にいうと、このあともフォローという、内定承諾を辞退されないように入社までフォローするプロセスがあります。

採用は大まかにこのようなプロセスで行われています。

候補者が内定承諾する条件

クロージングのポイントを理解するうえでは、「なぜ、どのような状況で候補者は会社に内定承諾するのか」を、候補者視点で理解することが重要です。

大まかに下記のような条件が整うと、自社に内定承諾してくれる可能性が高まります。

  • 自分の求めていることがその会社で得られる
  • 直観的に親しみ・ワクワク感が感じられる
  • 他社よりも上回っている
  • 内定承諾の決断を迫られる

まずは、少なくとも候補者が求めている企業選び・キャリア選択の要素が、自社でなら得られると思ってもらうことが大切です。
加えて、そのような「合理的」な判断だけでなく、自社の組織や社員に対して、親しみやワクワク感を感じているかという「感覚」面も重要となります。それらの要素が「他社を上回っている」ことが大切です。

ただし、それだけでは不十分です。決断によって他の選択肢を排除することは、候補者にとってリスクであり、勇気のいることなので、こちらから働きかけなければ決断は難しいでしょう。

候補者の判断条件が整ったあとは、期限を切るなどして、決断の後押しやクライマックスづくりが必要になります。

ここまでは、候補者が内定を承諾する条件や状況を大まかに説明してきました。ここからは、「では、具体的にどうやればいいの?」という点を見ていきたいと思います。

クロージングのポイント

ここまでは前提の話でした。ここでは、いざリクルーターが候補者に接するときに何が大事か、そしてそれを軸にどのようにクロージングを進めればよいかについて、ポイントを抑えながら解説していきます。

信頼関係を構築せよ

クロージングでは、いかに候補者から率直な感情や状況を「知る」ことができるかが最重要です。基本的に候補者は、会社側へ率直な情報を伝えることには不安がある、ということを理解しておきましょう。

人事やリクルーター担当社員が、個人としてしっかり候補者に向き合い、信頼関係を構築することがすべての基盤です。
そのためには、「この候補者の幸せのために、適切な意思決定を支援する」という姿勢で候補者に臨むことが必要です。

当然「この候補者を採用したい」という思いはあるはずですし、あるべきなのですが、前提に「この候補者のために」という姿勢を持つことが大切です。その姿勢がなければ、候補者は窓口となる社員を信用できず、結果的に本音を伝えてくれることもありません。

加えて、単純な接触回数も大きなファクターです。企業規模や採用人数によっては難しいと思いますが、可能であれば内定を出してからではなく、内定前から有力な候補者には窓口となる社員を設定し、接点を形成しておくと有効です。

勝負は最初の接点からだと肝に銘じておきましょう。

相手を知れ

候補者が自社を選ぶ条件は、「他社よりも自社でこそ、候補者の求めていることが得られる」と認識してもらうことだとお伝えしてきました。
そのためには、当然のことながら「候補者が何を求めているかを知る」というプロセスがキーになります。
ただ、「言うは易し行うは難し」の典型で、一筋縄ではいきません。

「候補者が語る表面的な言葉でわかった気にならない」という意識が大事です。

第一に、自分自身にとって何が大事かを明確に言語化できる候補者は、なかなかいません。正直、わからない候補者がほとんどです。おそらく、候補者自身もしっくりこない中で、「ワークライフバランス」「挑戦できる」「社会貢献できる」といったことを話してくれると思います。

ところが、本当はその言葉の先に、候補者の根っことなる価値観が存在しているケースが多く見受けられます。言語化されない候補者の価値観を理解するには、候補者との信頼関係を構築しながら、過去の体験や企業選びで悩んでいるポイントなど、言葉に出せていない部分をじっくり汲み取っていく必要があります。

適性検査などを活用すれば、候補者の価値観を知るうえでのヒントを得ることが可能です。

第二に、「窓口となる社員側がバイアスを持たない」という点が、容易ではありません。特に候補者が明確な言葉で語ってくれない場合、聞く側はさまざまなことを想像したり、仮説を立てたりしながら聞く必要があります。

ところが、強く意識しなければ、相手の言葉に対して自分の経験や考え・価値観を当てはめ、わかった気になってしまいがちです。そうなってしまうと、「自社と結びつける」というプロセスの段階ですれ違ってしまいます。

常にバイアスが自分にあることや、自分の解釈で判断しないことを強く意識して、候補者の話を傾聴するよう心がけましょう。

なお、優秀なリクルーターは、言語化できていない部分の言語化をサポートし、候補者が自覚できるよう促すことが可能です。
土台ができていないなら、まずは土台から一緒に作っていく。そうすると、自社を選ぶかどうかは別として、候補者自身にとっては就活が前に進むことになるため、サポートしてくれた社員へ信頼感を抱いてくれることになります。

浅いところで戦うと負ける!候補者の根っこの価値観は何なのか、個人的な偏見を持たず正しく理解してあげることが、クロージング成功への第一歩です。

自社を知れ

候補者の価値観や選択基準がわかっても、それと自社が結び付かなかったら、自社を選択してくれることはありません。候補者の求めることと、自社・自社社員・候補者自身を結び付けられるように工夫する必要があります。

会社単位・事業単位・仕事・社風・社員・採用担当者のことなど、自分たちが持っている武器を多面的に理解し、いつでも引き出せるようにしておくとよいでしょう。

他社を知れ

競合他社が自社よりも候補者の会社選びに求める要素を満たしているなら、よほどの懸念事項がない限り、候補者は他社を選ぶでしょう。
加えて、「決断を迫られる」の項目でも申し上げたとおり、期限は候補者が内定を承諾するタイミングです。

採用は、先に他社を選ばれたらもう終わりです。仮に競合から「2週間以内に決めてください」と候補者が言われていて、競合他社に分がある場合、自社の内定通知が遅れたら確実に競合に取られてしまうでしょう。

常に競合の状況を把握し、理解する。つまり、他社を知る必要があるのです。他社の選考状況といった情報を得るためにも、候補者と信頼関係を構築し、情報共有してもらえる体制づくりが大前提となります。

以下が、他社を知るために把握しておきたい情報です。

把握する必要のある情報

  • 競合の選考プロセスのどの段階にいるのか
  • 競合の内定承諾期限
  • 競合と自社の志望度の順位
  • 競合と自社を比較し、どこが良い・悪いと思っているのか

繋げる-繋げない

採用では、自社のほうが競合他社より候補者の企業選びの基準を満たしている、ということを候補自身に認識してもらえる取り組みが大切です。窓口となる社員が客観的にそう思うだけでは、意味がありません。

クロージングの最終段階においては、候補者との面談の中で「それぞれの基準を自社がどのように満たしているか」「他社だとどの程度満たすことが難しいか」といったことを一緒に整理してみるとよいでしょう。
「あなたの求める軸はA・B・Cだったよね。競合a社の場合、A軸〇、B軸△、C軸×。当社なら、A軸〇、B軸〇、C軸△じゃないかな」などと、方向性について話すイメージです。

あからさまに上記のような会話をせずとも、自然と候補者に「こちらの会社のほうが、求める要素を満たしている」と認識できる状態に導くことが理想です。

加えて、求める要素を満たす点以外にも、懸念事項をなるべく払拭していくことも重要です。
特に意思決定する最終段階において、候補者は懸念事項が無いか考え始めます。それはまさに決めようとしている兆候で、最後に見落としが無いかチェックをしている状態ともいえるでしょう。

候補者が感じた懸念点を即座にキャッチアップし、誤解であれば事実を伝え、事実であれば相対化して見方を変えるなどして、いかに素早く対処できるのかが重要です。
さもなくば、その懸念点を競合他社が突いてきます。とはいえ、本当にその懸念が覚悟を必要とする点であれば、変にねじ曲げるのではなく、「懸念だからこそ、それは覚悟して選んでほしい」と伝えることが誠意ある姿勢だと思います。

事実をねじ曲げることは、最終的に信頼を失ったり、入社しても早期離職につながったりしてしまうでしょう。

候補者の幸せを第一としながらも、自信を持ってつなぐべきところはつなぎ、覚悟してもらうことは率直に伝える、という真摯な姿勢で臨むよう心がけましょう。

「組織」としてアプローチする

窓口となる社員一人だけで候補者をクロージングする必要はありません。候補者の会社選びの基準、価値観、知りたいと感じていることなどに応じて、柔軟に自社の社員(場合によっては役員等)を調整できる企業は、クロージングに優れています。

その際に必要不可欠なのが、候補者に関する社内の情報共有です。候補者に会った社員達がバラバラに情報を持っていると、スムーズな情報共有は不可能です。

複数の接点を通じて入手できた候補者情報を、社内で共有したり、センターコントロールする人が統合して持っておいたりする必要があります。
候補者に会社情報を伝える観点でも、社員によって言っていることが変わると「この会社は何が良くて何が悪いかわからない…」と候補者に思われかねません。
候補者に関する情報を組織として把握することに加え、候補者に対してどんな体験や情報を提供するのかを、組織として一貫性を持って進めていくことが重要です。

採用責任者は、候補者の状況に応じて適切な社員をあてがうだけでなく、「候補者はこのような状況で、企業選びの判断基準に悩んでいるので、ぜひ不安を払拭できる話をしてくださいね」などと丁寧に現場社員へ指示を出しておかないと、持っている情報を最大限活用できません。

クロージングはアトラクトがより進んだ段階ともいえるので、クロージングでなくてもアトラクトの段階から一定の統一性が必要になります。

意思決定者を知れ

もうひとつ大事なのは、候補者の関係者です。候補者が企業を選ぶ場合、完全に自分だけで決めているとは限りません。
例えば就活生だと、親の意向が大きい人もいるでしょう。なんとなく候補者自身が「この会社がいいな」と思っていても、親御さんが入社に否定的な場合もあります。その場合は、親御さんに安心してもらえる材料を提供するなどして乗り越えなければなりません。

フィーリングを味方につけろ

先ほどまでは、「言葉でどう伝えるか」「言葉でどう好きになってもらえるか」という話をしてきました。しかし、人が何かを決めるときは言葉だけではないですよね。

例えば、「何となくシンパシーを感じるな」「居心地がいいな」といったフィーリングは大切です。恋愛と非常によく似ています。
一番接する機会の多かったリクルーターと合うかどうかが決め手となることも、珍しくありません。

これは、社員面談をアサインするときも同じです。属性の近い人のほうが共感を得やすく、話に納得しやすいのです。フィーリングの合う社員を選ぶうえでは、適性検査を通じて性格傾向を見ていくとわかりやすいでしょう。

候補者の求める基準と「繋ぐ-繋がない」といったプロセスは、合理的な要素も大きいのですが、難易度が高いのも事実です。
「合理」のプロセスの難易度を、フィーリングが合うことでカバーすることも可能です。場合によっては、合理性よりもフィーリングのほうが、意思決定のうえで重要であったりもします。

最後は踏み込め

「候補者が内定承諾する条件」の項でも説明したように、候補者にとって1社に絞るのは勇気がいることです。
期限が無ければ、なるべく後回しにしたいと思うのが普通の反応だと思います。そうした意味で、適切な期限設定を図ることは重要です。

期限設定をする際に踏まえるべき点は、

  • 自社に決定できるほど志望度が高まっているか
  • 競合他社の内定承諾期限
  • 候補者が決断できるだけ、就活をやり切ったと感じているか

といった点が挙げられます。

たとえ候補者の自社への志望度が競合より高かったとしても、「意思決定できるだけの材料を得た」「あとは決めるだけだ」と思える状態でなければ、決断に踏み切れないこともあるでしょう。
また、選考プロセスが遅い他社を、ただ待てばよいわけでもありません。一方で、頭ごなしに「1週間で決めてください」と伝えると、信頼を損なう可能性があります。

「いつまでに決めるか」は、内定オファーを提示する面談時などに候補者と合意する(候補者が自ら期限も決めた、と思える状態にする)ことが重要です。

また、期限設定とは別の観点として、機が熟したタイミングで「あなたにぜひ自社に入ってほしい。あなたは自社を選ぶべきだ」といったことを、ぐっと踏み込んで伝えてみてもよいでしょう。
候補者の意思決定を尊重する姿勢が重要である一方で、「背中を押してほしい」と心の内で思っている候補者も少なくありません。。

候補者が自社を選んで幸せになる、そう確信できるならば、最後のタイミングではリスクを恐れずぐっと踏み込むことも重要です。

最後に

この記事では、クロージングの理想論を解説してきました。お感じのとおり、クロージングはとても難しく、かつ候補者の人生に大きな影響を与えるプロセスであるため、倫理的な責任が大きいものです。

繰り返しになりますが、窓口となる社員個人の偏見にとらわれず「候補者を知る」ということからすべてが始まります。
候補者のことを知ったり、適切な社員を選定したりするうえで、適性検査や性格診断は非常に有用です。

当社でも採用で使っているミキワメ適性検査は、候補者の性格や特性を、良しあしではなく中立的にとらえるロジックを用いたり、多様な現場社員が見てもパッとわかるUI/UXとなっていたりするため、ぜひご活用いただきたいと思っています。

最後に、本記事をご覧いただいた方や企業が、どの程度理想的なクロージング体制を作れているか確認するチェックリストを用意しました。

クロージングチェックリスト

  • 候補者の判断基準/価値観が明確にわかっている
  • 候補者に魅力を感じさせられるような、会社や社員の情報を十分に用意できている
  • 他社はどこを受けていて、どんなフェーズか把握している
  • 受けている他社と自社を比べて、候補者がどう感じているか理解している
  • 候補者の意思決定に影響を与える人が誰なのか把握している
  • 必要なタイミングで適切な現場社員などを調整できる
  • 社員をアサインするときに、事前情報や候補者の意思決定基準・フェーズ、面談のゴールなどを明確に伝えている
  • 候補者の自社に対する懸念を理解できている
  • 候補者と信頼関係を築けている
  • 候補者が意思決定できるよう、最後に背中を押せるようなアピールができる

7つ以上当てはまっている方は、かなり優秀なリクルーターといえます。
「全然当てはまらなかった…」という方も、ご安心ください。

ミキワメ適性検査や、就活支援サービスミキワメでは、上記のようなクロージングの体制構築のご支援もしています。
より良い採用活動のお手伝いができることを願っております。

お力になれることがございましたら、お気軽にお問合せください。
お問合せページ: https://www.recme.jp/for-company/

ABOUT ME
奥田 祐己
東京大学法学部卒。法人営業として、コンサル、最大手メーカー、インフラ企業、スタートアップ等の企業様への採用支援や、学生に対する企画・マーケティング担当、社内の新卒・中途採用チームで、プロジェクトオーナーや現場のリクルーターを歴任。

優秀な新卒学生採用を実現する「ミキワメ就活」「NEXVEL」

「ミキワメ就活」は旧帝大早慶層3人に1人が利用。年間3万名ほどの学生にご登録いただきます。「NEXVEL」は選抜された優秀学生との接点創出が可能。
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