適性検査

超上位校生の就活インサイトと動向 〜東早慶京大など就活人気ランキングを分析〜

※本記事は、2020年に公開された記事を転載したものです。 

当社リーディングマークから「2020年卒就職人気企業ランキング」についてのプレスリリースを配信しました。そこでは、金融不人気やメガベンチャー人気といった潮流がある中でも、大半の上位校生による総合商社や広告代理店など大手日系老舗企業人気は依然として根強いということを明らかにしました。
(ただし、上位校生の何%が各企業を志望しているか、というシェア率の経年変化を見ると、総合商社人気はピークアウトしており、それに代わる広告代理店やITコンサル、業界変動とは別にサントリーやトヨタといった特定の個社のシェア率が上がってきているという結果も出ています。これについては稿を改めて分析します。)

 今回は、大手日系老舗企業人気の要因について、上位校生が就職する上で何を重視しているかという観点から分析を試みるとともに、上述した大手日系老舗企業人気という傾向がすべての上位校生に当てはまるのか、時期別の企業人気の変動とその要因分析を紹介したいと思います。

2020年卒人気ランキングの特徴と背景:大手日系老舗企業の人気は変わらず

 「2020年卒就職人気ランキング」の上位100社から分かる人気業界・企業の変動、特徴について簡単におさらいしたいと思います。
まず、五大総合商社が上位5社を独占し、別調査から志望学生の割合は最盛期に比べピークアウトしているものの、以前商社人気が続いていることが分かりました。
また、デベロッパーや広告代理店は順位が全体的に上昇し、人気が根強く、メーカー、機電系を中心に人気が上昇していました。金融は、金融不人気が叫ばれ、損害保険会社や信託銀行などが全般的に順位を落とすも、メガバンクについては堅調な人気を維持していることが分かりました。総じて、大手日系老舗企業人気は例年と変わらない結果となりました。


▼2020年卒3月就職人気ランキング 1位~100位

ではなぜ上記のような結果となったのでしょうか。業界別・企業別の事情もあるでしょう。機電系メーカーについては、数年前の経営悪化のニュースがひと段落し、IoTやAIといったキーワードへの注目と共に人気を持ち直してきていると考えられます。広告代理店は、数年前に過労死問題で業界全体として人気が低下したものの、数年の経過とともに一時の不人気から立ち直りつつあるという背景もあります。 

ただし、それだけでは大手日系老舗企業が上位20社を独占していることの理由としては不十分です。これらの企業に共通する特徴には、「安定」「高収入」が期待できる日系各業界のリーディングカンパニーであるということが言えますが、その上でなぜ上位校学生の人気が維持されているのでしょうか。これから述べる分析で見えてきたのは、「一定の業務のチャレンジ性」を求めつつ「将来」の「堅実な成功」を重視する上位校生の姿でした。

日系大手人気の背景:「将来の堅実な成功」をねらう超上位校生の実像

 当社では、企業の採用ブランドの構成要素(≒学生が企業選択する際の軸)として4カテゴリー、40項目を定義しています(参照:「採用ブランド構成要素/学生の企業選択軸構成要素40種」)。学生がどの企業に就職するか選ぶ際に上がる軸はほとんどすべてこのいずれかの項目に当てはまると言ってよいでしょう。

▼採用ブランド構成要素/学生の企業選択軸構成要素40種

▼学生が重要視する企業選択要素上位10項目

 このランキングは2019年2,3月調査時に、上位校学生が企業の選定軸として選んだ項目の上位10項目です。
 チャレンジ性といった項目が上位に挙がる一方で、「報酬と昇進の機会」というカテゴリーからは「将来のキャリアへの良い関連性」「将来的な高所得の見通し」「競争力のある福利厚生」が選ばれ、逆に外資系企業が当てはまりやすい「競争力ある基本給」、ベンチャー企業などが当てはまりやすい「迅速な昇進の可能性」などはランクインしていません。一定期間の下積みを経て、キャリアや高収入が期待できる日系大手が上位にランクインしている背景が読み取れます。

また、「人と文化」という項目からは、「友好的な職場環境を提供する」「仕事と生活の良いバランス」がランクインしています。将来的な高収入を期待しながらも、日々の良好な人間関係やワークライフバランスも重視したいという上位校学生の実像が現れており、そのことが、実力主義・激務といったイメージが伴いがちな(実態は別として)外資系企業よりも、結果として日系大手が人気企業上位にランクインしている背景にあるでしょう。

 日系の機械系メーカーが順位を昨年よりも上げている旨を述べましたが、ワークライフバランスが一定整っている中、グローバルな業務に携われるという「チャレンジ性」もあり、安定と挑戦のバランスが取れた銘柄として学生の志向性に合っているがゆえであると言えそうです。 

総じていうならば、一定のワークライフバランスを犠牲にしたり、職場でのアップオアダウンといったストレスにさらされながら、卒業後すぐに大きな成功(収入、キャリアアップ)を目指すよりも、私生活とのバランスや良好な人間関係などを享受しつつ、一定の下積み期間を経ながらも将来的に高収入やキャリアップを着実に狙いたい、という上位校生の堅実な姿が浮かび上がる結果となりました。

時期別のランキング:早期は外資系企業人気、徐々に日系大手が順位を上げる結果に

一方で、上位校学生のすべてが上記のような考え方をしていると言えば、当然そうではありません。人気上位100社の顔触れを見て、外資コンサルティングファームや投資銀行が上位にランクインしていないことに違和感を持った方もいるでしょう。
レクミーでは例年、夏(5月頃)、秋(10月頃)、冬(12月頃)にも同様の人気企業ランキング調査を行っています。その結果を見ると、時期によって上位にランキングする企業のカテゴリーが明確に変化することが分かります。 全般に、早期に採用を行っている外資系企業が早期は人気、徐々に日系大手が上位に上がるという傾向があります。より詳細を業界別に見てみましょう。

  • 外資:5月,10月には上位にランクインしているものの、3月はランクを下げる結果となりました。(コンサル、投資銀行は上位50外にランクを下げました。)本選考時期が基本的に12月、1月ごろまでにはほとんど収束することが反映されているものと思われます。
  • メーカー:5月はToCメーカーの人気が目立ちますが、3月にはToBメーカーがランクを上げました。 学生の認知度という観点で、日常生活に触れるToCが初期は人気ですが、企業の露出が進むにつれて、ToBも人気になってくると考えられます。
  • 金融:信託銀行や損保が年間を通じてじわじわとランクを上昇させています。一方で、メガバンクの人気は通年でそこまで変化がありません。金融業界の中でも、就活前には学生にとってなじみの薄い領域が、学生の理解とともに順位を向上させているものと思われます。
  • 総合商社:三菱商事、三井物産、伊藤忠商事は最初から高順位にランクインしている一方で、それ以外の七大総合商社は、年間を通じじわじわとランクを上昇させており、春には上位30社にはランクインする結果となりました。

要因分析:就活を行う学生層の違いと学生の企業理解の深まりが背景に

 時期別の人気ランキングの変動の要因として大きく2つ挙げられるでしょう。1つは学生の認知の深まりです。ToCの企業や、春の人気ランキング上位3社を独占する三菱商事、三井物産、伊藤忠商事といった知名度の高い企業は早期から高順位にランクインしている一方で、上述したように「一定の業務のチャレンジ性」を求めつつ「将来」の「堅実な成功」を求める学生のニーズに応える潜在力を持ちながらも、就活の早期の段階には学生理解の浅い企業(ToBメーカー等)は、企業のプロモーションに従って年間を通じてじわじわと学生の間で理解が進み、それに伴って順位をあげる傾向があるといえるでしょう。

 人気ランキング変動要因の2つ目として、そもそもそれぞれの時期ごとに、就職活動を行っている学生層が異なることも大きいです。
下記の図は、「上位校学生が就職活動を意識しはじめた時期」、「就職活動を始めた時期」、「志望企業を絞り込んでいく時期」を表したものです。

▼20卒学生の企業選定期間

・Top20(志望企業):就職先として検討できる上位20社。個別の会社説明会があれば参加しようと思う。
・Top5(第一志望企業):働きたい上位20社。面接などが他の予定と被っても面接を優先したいと思う。
・No.1(第一志望企業):内定が出れば必ず行きたい企業1社。

上記の図は、調査対象の学生が、いつ就職活動を意識しはじめたか、就職活動を開始したか、志望する上位20社、5社、1社を明確化させたかを調査したものです。例えば、2018年11月の段階で「Top20の企業が明確化している」と回答した学生の割合は、およそ25%となっていますが、これは2018年段階で調査対象の25%の学生が既に志望企業上位20社を明確化していた、ということを示します。この図から分かることは、夏(2018年5月頃)の時点で志望企業を絞り込んでいる層と、春(2019年3月頃)に志望企業を絞り込んでいる層が異なるということです。

 夏(5月頃)の時点で志望企業を絞り込んでいる層は、上位校生の10%前後存在しますが、彼らは2018年の2月以前から何等かの就職活動を始めていただろうことが読み取れます。8月頃から12月、1月頃にかけて選考を行うのは外資系企業であることから、外資系企業が上位にランクインした夏(2018年5月頃)の人気ランキング結果は、おもに最も早期に動き出す10%程度の上位校生の志望を反映していることが予想されます。 

一方で、夏(2018年5月頃)から徐々に就活を始めだし、9月、10月頃から志望企業候補の絞り込みを始めていく約90%程度の層が存在することが分かります。秋(2018年10月頃)、冬(2018年12月頃)、春(2019年3月頃)にかけて金融やToBのメーカー、他の総合商社など、日系大手の人気ランキングが上昇していっている旨を述べましたが、それらはこの約90%の層の就活の開始や業界・企業理解が進むことにランキングの変動と考えられます。

一部の報道においては、上位校層は外資系企業ばかりを志望しているという結果も出ていましたが、これは本調査の結果によると一部の時期、セグメントの学生の結果を反映したものと思われます。夏(5月頃)時点で志望企業を絞り込んでいる約10%程度の上位校生が外資系企業を中心に志望している一方で、その他の約90%程度の上位校生は本稿冒頭に述べた「一定の下積みを経ながら中期的な時間軸の中で着実な収入、キャリアップを狙いたい」という志向性を持っていると考えられます。

まとめ

 本稿では、東大、京大、早慶、一橋といった上位校生らの大手日系老舗企業人気が例年と変わらない背景には、「一定の業務のチャレンジ性」を求めつつ「将来」の「堅実な成功」を重視している上位校生の志向性が存在することとお伝えしました。また、時期によって、外資コンサルファーム等が人気な時期があるものの、上位校生の一部の学生の志向性を反映するにとどまっており、大半の学生は上述したような志向性を持っている旨を明らかにしました。

 当社は、上位校生向けの就職支援サービス「レクミー」を通じて、上位校に対するサービスの継続的進化、および彼らを採用する企業の採用を効果的に支援するため、上記に記載したような時期別・大学別の学生の人気ランキングや、企業単位での学生のブランドイメージ情報を蓄積しています。その情報をもとに、学生の実態に即した個社のブランド戦略立案、内定者・辞退者への定性リサーチやそれに基づく採用ブランド戦略立案支援なども行っています。
 地域別のランキングや、本稿で紹介した学生の企業選択軸を用いた各企業のブランド調査もご提供しております。詳細は、下記お問い合わせ先までご連絡ください。

<本件に関するお問い合わせ先>

株式会社リーディングマーク 新卒事業部 広報担当 奥田
TEL:03-6712-7431    Email:info@leadingmark.jp

<参考>
<出所>

■「2020年卒 春期 就職人気企業ランキング」調査概要Ⅰ.調査対象 : 卒業予定 登録学生会員 ※対象大学:東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、東京工業大学、一橋大学、京都大学、 大阪大学、神戸大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、九州大学など計22大学Ⅱ.調査期間 : 2019年2月25日~2019年3月3日Ⅲ.調査方法 : ・弊社主催の合同説明会『レクミーLIVE』にてアンケートにより回収 ・選社企業は、弊社にてリストアップした約400社より学生1人につき第一志望企業群(5社)を選定Ⅳ.有効回答 : 5,328名(文系76.1%、理系19.2%、その他4.6% / 男性65.9%、女性34.1%)
■「2020卒 夏期 上位校 就職活動実態調査」Ⅰ.調査対象 : 卒業予定 登録学生会員 ※対象大学:東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、東京工業大学、一橋大学、上智大学、京都大学、 大阪大学、神戸大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、名古屋工業大学など計24大学Ⅱ.調査期間 : 2018年5月26日~2018年6月30日Ⅲ.調査方法 : ・弊社主催の合同説明会『レクミーLIVE』にてアンケートにより回収 ・選社企業は、弊社にてリストアップした約400社より学生1人につき第一志望企業群(5社)を選定Ⅳ.有効回答 : 2,804名(文系78.5%、理系16.0%、その他5.6% / 男性51.7%、女性43.2%、未記入5.1%)
■「2020卒 秋期 上位校 就職活動実態調査」Ⅰ.調査対象 : 卒業予定 登録学生会員 ※対象大学:東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学、東京工業大学、一橋大学、上智大学、京都大学、 大阪大学、神戸大学、同志社大学、立命館大学、東北大学、九州大学など計25大学Ⅱ.調査期間 : 2018年10月6日~2018年10月30日Ⅲ.調査方法 : ・弊社主催の合同説明会『レクミーLIVE』にてアンケートにより回収 ・選社企業は、弊社にてリストアップした約400社より学生1人につき第一志望企業群(5社)を選定Ⅳ.有効回答 :2,228名(文系73.5%、理系22.07%、その他4.45% / 男性60.1%、女性39.9%)
■「2020卒 冬期 上位校 就職活動実態調査」Ⅰ.調査対象 : 卒業予定 登録学生会員 ※対象大学:東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学、東京工業大学、一橋大学、上智大学、京都大学、 大阪大学、神戸大学、同志社大学、立命館大学など計25大学Ⅱ.調査期間 : 2018年12月1日~2018年12月14日Ⅲ.調査方法 : ・弊社主催の合同説明会『レクミーLIVE』にてアンケートにより回収 ・選社企業は、弊社にてリストアップした約400社より学生1人につき第一志望企業群(5社)を選定Ⅳ.有効回答 :1,678名(文系78.9%、理系16.5%、その他4.5% / 男性62.6%、女性37.4%)
■「2020年卒 企業選定状況市場調査」調査概要Ⅰ.調査対象 : 卒業予定 登録学生 ※対象大学:東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、東京工業大学、一橋大学、京都大学、大阪大学、 神戸大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、九州大学など計29大学Ⅱ.調査期間 : 2019年3月16日~2019年3月21日Ⅲ.調査方法 : ・Webによるアンケート調査Ⅳ.有効回答 : 354名(文系77.1%、理系22.9% / 男性61.3%、女性38.7%)

ABOUT ME
ミキワメラボ編集部
ミキワメラボでは、適性検査、人事、採用、評価、労務などに関する情報を発信しています。

活躍する人材をひと目でミキワメ

ミキワメは、候補者が活躍できる人材かどうかを500円で見極める適性検査です。

社員分析もできる30日間無料トライアルを実施中。まずお気軽にお問い合わせください。