学生時代にキャリアを選択する上で大事にしていたことを教えてください。
常に抱いていた「人を輝かせたい」という思い
学生時代から「人を輝かせたい」という思いを強く持っていました。自分自身の成長ももちろんうれしいものですが、人が輝く瞬間に立ち会い、そのことに自分が貢献できたと実感できること。その瞬間こそ、自分にとって最大の喜びと言えます。
それを大事にしたいと考えるようになったきっかけは何でしたか。
大学時代のテニスサークルや研究を通じて
大学時代は、テニスサークルに所属していました。サークルとは言え、年間200日の練習、夏休みは1日13時間も練習漬けになる厳しい団体でした。ここで私はサブトレーニングリーダーという役職に就いていました。テニス初心者の後輩をフォローするのが主な役割で、練習パートナーになったり、悩みを聞いたり、さまざまな面からきめ細かくフォローしていました。そんな後輩たちが成長し、試合で勝ったりする瞬間、大きな喜びに満たされたのです。研究においても、指導した後輩が論文などで成果を出した時に同様の気持ちが湧いてきて、自分の価値観に気付きました。
団体戦で優勝した忘れられない思い出
高校時代は陸上をやっていて、主に800mの選手でした。個人競技だったので、大学ではチームスポーツをやりたいと考えていました。テニスは団体戦があって、みんなで目標に向かって努力し、勝利の喜びを共有することができます。実際に関東の大学サークル対抗の大会で団体戦優勝を遂げたことがあり、その経験も私の価値観の醸成に大きく影響していると思います。
学生時代の就職活動はどのように行いましたか。
金融面から第一次産業をサポートしたい
大学時代は、湿地の樹木をテーマにした研究に没頭していました。マングローブといって、海水と淡水が混じり合う場所に生息する植物があるのですが、根の部分が水に浸っている状態でどのように酸素を取り入れているのかを調べたりしていました。そんな中、研究の一環として九州で林業を営む方をお招きしてディスカッションをしたことがあり、その時、林業の置かれた厳しい環境を知りました。「こういう機械が買えれば、もっと事業を動かせるのに」、そんな声をお聞きし、金融面から第一次産業をサポートする仕事に興味を抱きました。
早々に金融機関に絞る
「金融機関に入って、全国の第一次産業を支援したい」、そんな思いが明確になってきたので、就職活動は最初から金融機関に絞っていました。メガバンクを含めて幅広く見ていく中で、最終的に日本政策金融公庫に決めました。
最終的に入庫の決め手になったことは何ですか。
国の政策に基づき、第一次産業に特化した支援ができる
第一に、国の政策に基づき、第一次産業に特化した支援ができることです。また、職員の方と会ってお話するときに、非常に私のことに関心を持ってくださり、丁寧に話を聞いていただいたのも好印象でした。たとえ相手が学生であっても、人の話を傾聴するという姿勢は金融機関として魅力的だと思いました。

働き始めてから入庫前とのギャップはありましたか。
行政や農協と連携するなど、業務の多様性も魅力
単独で融資するだけでなく、行政や農協等の関係機関と連携して業務を進めることもあります。また、お客さまの課題や悩みを行政に伝えて両者を繋いだり、税理士と連携して財務強化の提案をしたり、お客さまのためにできることはたくさんあります。そういった対応を柔軟にできることも、入庫してから気付いた魅力です。
気持ちと行動で業務知識もお客さまとの関係も深められる
最初に配属されたのは熊本支店でした。お客さま一人ひとりがそれぞれプロの経営者であり、業界知識と人生経験に溢れ、お話を伺うのが面白く、とても勉強になりました。ある酪農家の方からご相談をいただいた際には、よりお客さまの環境を把握したいと思い、1週間作業をお手伝いしたこともあります。朝4時に起きて乳牛の餌である乾草を収穫したり、牛舎を掃除したり、泥だらけになることで見えてくるものがありました。自分の気持ちと行動で、自身の業務知識もお客さまとの関係性もより深めることができると実感しました。
今後はどのようなキャリアを歩んで行きたいですか。
まずお客さまの立場に立つ、この姿勢を貫きたい
私が業務上最も大切にしていることは、お客さまの立場に立つ姿勢です。悩みながらも夢に向かって、強い覚悟を持って相談に来られる経営者の方がたくさんいらっしゃいます。私はまず、その方の立場に立って直面する課題や悩みを共有し、次に日本公庫の立場から、「こういうふうにしてはいかがでしょう」と、アドバイスさせていただいています。まずは現場でこの経験を積み重ね、その後どのようなキャリアを歩むことになっても、この姿勢を貫きたいと思っています。
自身のキャリア選択に迷っている学生へのアドバイスをお願いします。
まず、目の前のことに情熱を持って取り組んでほしい
自分は何をやりたいのかわからない。そんな方は、まず目の前のことに真剣に、情熱を持って取り組んでみてほしいと思います。過去を振り返ってみてください。中途半端にやってきたことは何も残っていないと思います。でも、情熱を持って取り組んできたことは、記憶の中に強く残っているものです。なぜ、あんなに夢中になったのか。その自問を繰り返して行くと、自分は何者かが見えてくると思います。人に対して興味を持ち、自分の仕事に誇りと責任を持てる人。そんな方と是非一緒に働きたいと思っています。
