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    南スーダン独立直前に現地赴任。
    想像を絶する困難の中、貴重な経験を積む。

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    福田 秀正
    アジア開発銀行日本理事室理事補(出向中)

    学生時代にキャリアを選択する上で大事にしていたことを教えてください。

    大きな舞台で、社会や経済の仕組みを体感したい。

    世の中の仕組みや経済の動きを広く知りたいと思っていました。そのためにグローバルな舞台で、世界経済の流れに身を置いて活躍できる仕事に就きたい。大きなフィールドで、様々な学びと経験を積みたいと考えていました。

    それを大事にしたいと考えるようになったきっかけは何でしたか。

    主体的に自分の言葉で伝えることができなかった教育実習。

    高校時代から社会科の教員になる目標をもっていました。大学は教員を多く輩出している学校を選び、授業は教員免許取得関連の講義が中心。教育実習も2度経験しました。1回目は付属の高校で、2回目は地元の中学校で実習を行い、それぞれ貴重な経験を積むことができたのですが、一方でこのまま新卒で教員になっていいのかという疑問が湧き上がってきたのです。と言うのも、教育実習では地理や政治経済の授業を担当しましたが、生徒たちに正しい知識を伝えるのに集中するがあまり、指導要領に従ってただ教えるべき項目を解説することだけに終始してしまった。自分に社会経験がなかったこともあり、伝える言葉がすべて教科書や指導書の受け売りで、社会や経済の仕組みを主体的に自分の言葉で生徒たちに伝えることができなかったのです。これでいいのだろうか。一度社会に出てリアルな社会や経済を学んでから教員になろう。そう考えるようになりました。

    学生時代の就職活動はどのように行いましたか。

    JICAの他に陸海空運等、物流関連を中心に広く見て回る。

    当時はいつか社会科の教員になるという前提でいたので、経済の流れや社会の仕組みを学び、見聞を広げられる会社という観点で多様な業界・会社を広く見て回りました。教育実習はインターンみたいなものなので、それを2回も経験したということを強みとしてアピールしました。JICAはもちろん、特に物流関連の企業は、広くあまねく人やモノの流れと経済の仕組みに関わっているという点で志望動機と親和性が高く、会社説明会や面接等で様々な話を伺う度に、志望度が高まりました。

    最終的に入社の決め手になったことは何ですか。

    なぜ、JICAなのか、という問いに自分の目的を改めて認識。

    面接では、開発や国際関係の仕事ならNGOや商社、官公庁、大学院進学など様々なアプローチがあるのに、なぜ、新卒でJICAなのかという問いを投げかけられ、追及されました。深く自問し、内面を掘り起こしていくと、やはり、自分はより早く、より大きなフィールドに身を置き、世界の激動を身近に感じながら働き、そして学びたい。そこで培った経験と知見をいずれ教育の現場で活かしたいという思いが職業選択の原点なのだと改めて認識しました。そのためには、公的機関というバランスの良い中立的な立場で、世界的なネットワークをもつJICAで働くことが最良の選択だと考えました。

    働き始めてから入社前とのギャップはありましたか。

    想像以上に多くの学びと成長機会がある仕事。

    基本的に2、3年で部署が異動となり、実に多様な業務に携わってきたため、学生時代とのギャップを感じる暇もなく駆け抜けてきたような感じです。新人職員研修で最初に派遣されたガーナとシエラレオネ、帰国して担当した青年海外協力隊等の募集広報事業、太陽光発電や省エネルギー分野の案件形成・実施監理、独立4日前の南スーダンへの赴任、企画部でのJICA事業全体の予算管理担当、そして現在出向しているアジア開発銀行(ADB)での理事室業務と、JICAの中でもこれだけ多岐にわたる業務を経験している職員はそういないのではないでしょうか。入社前とのギャップというより、むしろ部署異動のたびにギャップを感じるので、常に勉強し続けないと生き残れない厳しさがあり、それだけ成長機会にあふれた環境だと思います。

    最も成長機会を得られた南スーダンでの経験。

    キャリアの中で最も成長機会を得られたと言えるのが南スーダン赴任です。2011年7月、ちょうどスーダンから南スーダンが独立して新しい国家が誕生する時。国民、政府、法律、経済、貨幣、すべてが変わろうとしている中、現地事務所を立ち上げるにあたり、今、何をやるべきなのか、何をやったらダメなのか、どんなリスクが潜んでいるのか、一つ一つ洗い出していきました。水や電気も不安定な状況で、突然紙幣が紙クズになり、国民が銀行の窓口に殺到したり、昨日まで認められていた法律や制度が突然無効になったりする。想定外のことが次々と起こる中、事業を興していくのは想像を超える絶する大変さでした。おかげで肝が座ったというか、大抵のことでは驚かなくなりましたし、ストレス耐性とやり遂げる力がつきました。

    今後はどのようなキャリアを歩んでいきたいですか。

    出向を経て、JICAの魅力を再発見。入社10年という節目に改めて今後のキャリアを再構築中。

    明確なビジョンはまだありませんが、これまでの経験を有機的に活かすことのできるキャリアを目下検討中です。現在はJICAを離れアジア開発銀行(ADB)の日本理事室に出向しており、国際開発金融機関という新たな視座で開発援助の意義や将来性、民間資金の活用のあり方等について考える貴重な機会を得ています。また、外からJICAを見る環境になり改めてその魅力について考えることも多くなりました。JICAの特長の一つは、バランスの取れた視点をもっていること。収益性を重視しつつも開発効果や公共性の高い事業については、利益のみに左右されない公的かつ大規模な事業を展開。その国の人々の幸せを基準に、5年、10年先を見据えながら、途上国の政府や国民に近い立場で事業に取り組んでいます。そうしたバランス感覚が、様々な部署を経験することで私自身にも徐々に生まれてきたかなと思います。教員への夢もわずかながら捨てきれずにいますが、広く教育に携わるということであればJICAの中にも豊富なキャリアがあります。多様性と包容力に富んだJICAで働く意義を再認識しながら、これまでの経験を活かして自分なりの付加価値のある貢献ができる道はどこにあるのか、マニラの地であれこれと思いを巡らせる日々を送っています。

    自身のキャリア選択に迷っている学生へのアドバイスをお願いします。

    就活は様々な会社の話を聞ける絶好のチャンス。

    利害関係なく気軽に興味のある会社に話を聞きに行ける。そんな経験ができるのは就活くらいしかないのではないでしょうか。軸となる業界や本命企業に向かって努力をすることは大事ですが、少しでも気になる会社があったら積極的かつ気負わず動くべきだと思います。私も本命の業界とは別に、例えば就活中にお世話になっていた携帯型食料を作っている会社や、アルバイトをしていたスポーツクラブの競合企業等、ちょっと面白そうだなと思った会社の選考をお試しで受けてみて、自分が本当にやりたいことを取捨選択していきました。

    自分の強みを大切にしつつも、柔軟にチャレンジしていく姿勢を。

    JICAと相性の良い人は、自分の強みをもち、しっかりと発言できる人だと思います。ただ、業務が幅広いので自分のやりたいことにこだわり過ぎない方が良いでしょう。軸となるキャリアや専門性を大切にしつつ、様々なことにチャレンジできる柔軟性をもち合せることが大切です。特に海外の事務所に赴任した際は、公私ともに日本での常識が通用しない場面に多く直面しますが、一方で現地の人たちや町が変わっていく様を最も間近でみることができ、達成感もひとしおです。ハードですが、そうした経験を喜びややりがいと感じられる人が向いていると思います。それから、JICAのような公的機関を志望する人で、利益追求を過度にネガティブに考える人がいます。しかし、国が発展していくための力や仕組みを構築していく上で利益を生み出しつつ物事を動かしていくことも大切な要素です。ただ、利益だけにとらわれてしまい、その国で暮らす人々にとっての幸せが何か見えなくなってはいけません。先ほど、バランスのとれた視点がJICAの魅力と言いましたが、JICAで働く人にもそうしたバランス感覚が求められると感じています。