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今回はLNGに関するお話です。みなさんは、LNGの業界での「オペレーター」という役割をご存知でしょうか?知っている方はかなり業界研究が進んでいらっしゃいますね。オペレーターというのは操業主体者のことで、三菱商事がこのオペレーターを務めたのはドンギ・スノロLNG(以下ドンギ)のプロジェクトが初でした。意外ですか?総合商社というと周りを巻き込んで仕切っているイメージを持たれる方も多いですが、ことLNG開発プロジェクトなどではかじ取りは行ってなかったんですね。オペレーターというのはいわばかじ取り役で、ほとんどが国際オイルメジャーが担っている役割だったんです。みなさんご存知のカンパニーですと、アメリカのエクソンモービルやイギリスのBP社などがこれにあたります。

オペレーターってどんな立ち位置?

LNGを採掘するとなると、どのような事業フローになるのでしょうか?そこまで複雑なステップでなくでもよいので、一度考えてみてください。

では、ひとつずつ確認していきましょう。まずは採掘する必要がありますね。さらっと書きますが、採掘するだけでも様々な会社が関わります。次に、生産された天然ガスを採掘した場所から輸送する必要がありますね。この際、パイプラインの技術を持った会社や海上を輸送する船舶の会社なども関わってきます。そして、最後にこれら天然ガスをきちんと届けた後に、きちんと流通させるように手配することも必要になります。
ざっと、採掘、生産、運搬、流通などのフェーズが考えられていればよいと思います。総合商社の他に半官半民・金融などを見られている方は、これらの資金をファイナンスするステップなども考慮していると業界研究が進んでいる証拠です。
さて、ざっとこれだけのステップを海外でやるとなると、多国籍企業が協力して事業を行うことになります。総合商社がいかに今まで開発プロジェクトに参画してきたからと言っても、世界の名だたる石油メジャーに比べると、まだまだかじ取りのノウハウには差があるといえます。それゆえ、いままでオペレーターをとることはなかったんです。

では、オペレーターをとるとどのようなメリットがあるのでしょう?考えてみましょう!

様々な理由があると思うので、ここでは一つだけご紹介します。やはり、出資比率が低い案件に比べて、迅速な意思決定に寄与することができるのではないでしょうか。多国籍の企業が集まる中で話し合いをすると、協力体制とはいえ利益を求めて行っている事業である以上、ときに衝突も避けられません。その中でかじ取り役は意思決定をしていくので、大変なことも多いですが、事業の方向性を決めてもいけるというのはメリットだと思います。逆の考え方をすると、出資比率が低いと周りの意見で振り回されてしまうこともあるということですね。
みなさんもオペレーターのメリットなどを考えてみてください。

ドンギ・スノロ

これは三菱商事がはじめてオペレーターを務めた開発プロジェクトで、韓国ガス公社・インドネシア国営石油会社プルタミナ・インドネシア民営石油採鉱会社のメドコの三社とともに出資してLNG液化・販売を行っているプロジェクトです。年間二百万トンのLNGを生産し、日本と韓国の電力会社・ガス会社に供給しています。(販売しています。)アジアの会社のみで推進されていたプロジェクトとしても初でした。
就活生としては、年間二百万トンというのがどれくらいの量なのか、そして今後もオペレーターを取っていく機会があるのか考えたいですね。
今回はLNGの開発について紹介しましたが、総合商社ではこうした大規模なプロジェクトに複数の会社で協力して挑戦することが非常に多いです。多国籍の企業で、それぞれ利害関係になったり、協力関係にあるなかでプロジェクトを進めていくのは大変であると同時に、大変責任も大きく社会的意義も大きいです。プロジェクトの名前をそのまま受け止めるのではなく、ひとつひとつのプロジェクトにどのような会社が関わっているのかぜひ調べてみてください。
(参考)
三菱商事ホームページ ドンギ・スノロLNG社
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/bg/energy/investments/dngb3.html