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業界研究が進んでくると、住友商事に特徴的な事業にJ-COM(ジュピターテレコム)があがってくると思います。ご存じなかった方は、住友商事のメディア・ICT事業の部分を調べてください。他にもジュピターショップチャンネルやSCSK、ティーガイアなども主要な事業会社としてあがっているはずです。今回はJ-COMから総合商社の事業投資の中でもピンポイントに持株比率について考えてみましょう。テクニカルなポイントですが、新しく事業を行う際に事業会社を設立することの多い総合商社では避けて通れない話なのでじっくり考えてみましょう。

業界研究の進め方上級編

さて、今回はJ-COMについて調べるわけですが、総合商社は特に各社に固有の事業があります。合同説明会などで事例としてあげられる事業というのが、それに該当する場合が多いです。各社自信をもって宣伝している事業なので、それを就活生がきちんと知っていれば会社側も嬉しいですよね。今回は住友商事のJ-COMを取り上げますが、みなさんも受けられる総合商社の「目玉事業や新規に取り組んでプレスリリースされた事業には目を通す習慣」をつけておきましょう。

J-COMの例から総合商社の出資の際の持ち株比率の重要性を学ぼう!

まずは以下の記事を読んで、総合商社の出資について深めてみましょう!
「住友商事がJ:COM非上場化のナゼ」
https://toyokeizai.net/articles/-/11643
内容としては、当時J-COMの出資比率が住友商事40.46%でKDDIが31.08%だったものを半々にして、配当を二社で山分けしようということになったというものです。記事では、その際非上場化した理由や総合商社的な考え方にフォーカスしていますが、今回はそこについて詳しくは触れません。その代わり、持株比率について深めてみましょう!

記事では「配当を折半する」と書いてありますが、本当は折半していません。その理由の説明を以下の会社法から考えてみてください。

会社法309条一項により、持株比率が50%を超える株主になると、株主総会の普通決議を単独で可決する権限が与えられます。取締役の選任、解任をはじめとして、会社の意思決定のほとんどを自ら行うことができるようになります。半分超というのは、たとえ一株でも多ければ半分超です。
いかがでしょう?そう、本当に株を半々にして保有すると、意見が割れた際にどちらの意見にも収まらず、経営が進まなくなる可能性があるということです。そのため、今回の住友商事のJ:COMの例でも、厳密にはどちらかが一株くらい多く保有して、「半分超」という形をとっています。

では、どうやってバランスをとっているのでしょう?

片方が半分超の株を保有しているとなると、意見のバランスがとれなくなります。つまりKDDIが半分超取得していると、常にKDDIの意見が通ってしまいます。今回はそのバランスを取る手段のうちの一つを紹介します。以下のウェブサイトから答えを探してみましょう!
J:COM 会社案内
https://www.jcom.co.jp/corporate/company/#block04
さて、答えは上にある会社案内の中に隠れています。もちろん、答えは一通りではありません。

会長と社長ってどんな人?

現在、J:COMの会長は牧俊夫さんという方です。そして、社長は井村公彦さんという方です。牧氏は実はKDDIの経歴をお持ちで、井村氏は住友商事の経歴をお持ちです。おわかりでしょうか。ここで、会長、社長というツートップを両者から選任することで持株比率の差の分を補っているんですね。これで、KDDI側も住友商事側も、対等に意見をぶつけ、J:COMの方針を考えていっているということになります。

総合商社にとって出資比率はとても大事な問題

上のJ:COMの例で、総合商社にとって、出資している会社のかじ取りを行う意味で出資比率は大変重要な問題であることが分かったと思います。他にも持株比率三分の二や三分の一、といった重要な比率があるので、ぜひ調べてみてください。そして、今後総合商社が出資しているといった際には、どれくらいの出資を行っているのか気にかけてみてください、きっとさらなる学びがあると思います。