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総合商社を受けられる方であれば、「非資源分野」というキーワードをご存知の方も多いのではないでしょうか?伊藤忠商事が取り組んでいる、ファミリーマートやIT事業などがこれに該当します。近年、総合商社が非資源分野にも積極的に取り組んでいます。何でですか??いや、儲かるからでしょ!っていう言い方もできますし、それで正解です。儲からないと企業としてビジネスをやる理由がありません。ところが、総合商社の場合は、単に儲かるからだけではない理由があったりします。(※この理由は結果的にそういう捉え方もできるという後付けの理由でもありますのでご了承ください。)

原油価格の推移から資源分野をみてみよう!


(出典:IMF https://www.imf.org/external/np/res/commod/index.aspxより筆者作成)
上では原油価格の推移をのせています。すごい変動ですね。パッと来ない人のためにわかりやすく説明します。ちょっと下の問題を考えてみてください!

問題

仮に、三菱商事が今10000バレルの原油を運ぶのを手伝ったとします。そのときにいただく手数料は5%です。なお、報酬は運ぶ原油の量に比例します。2002年のときにいただける手数料と2016年のときにいただける手数料は貨幣価値ベースでどのくらい違いますか?

答え

約二倍ですね。2002年のときと2016年のときの原油価格が単純に二倍異なります。
この問題からわかることは、資源分野は儲かるときは儲かるけれども、資源自体の価格に左右されやすいということですね!!みなさんが会社の経営者だったらどうでしょうか?ちょっと不安じゃありません?残念ながら、資源価格は需給の関係から決まるので、政治・経済の状況で常に変動するため、不安定になることは避けられません。

ここで新聞記事を読んでみましょう!

日経新聞 2018年5月8日
「商社、「資源の宴」再び 三菱商事など4社最高益」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30209860Y8A500C1000000/
いかがでしたでしょうか?2018年三月期は商社が石炭や鉄鉱石の資源価格が高騰し、最終的に黒字だったというわけです。一方で、過去に資源価格下落で厳しい状況におかれたことがあるので、「非資源分野とのバランスをとって経営を行っていく、というのが業界としての考え方」のように見受けられます。
つまり、非資源分野は資源価格に左右されないので、ここで安定的に成長させていくということが、総合商社の利益を安定させていくことにもつながるということですね!そういうポートフォリオ的な意味でも非資源分野は総合商社にとっても大変重要なのです。
(※資源分野はハイリスクハイリターンでボラティリティが大きく、非資源分野はローリスクローリターン。大雑把に言えばそういう全社的なポートフォリオを構築しているという考え方ができます。各社の研究の際はもっと細かな事業単位ごとにみていくとよいと思います。)