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総合商社のビジネスモデルといえば、トレーディングと事業投資ですよね。今回は、「それらからあがってくる収益」を少し深めてみましょう!

総合商社の財務諸表

財務諸表、、、いきなり専門用語ですね。社会人になったら、出身学部関係なく知っておきましょう。財務諸表では今の企業の状態が書かれています。貸借対照表ではもっている資産や負債が、損益計算書ではどれくらいの利益が出ているか、キャッシュフロー計算書では手元のキャッシュがどれくらいあるのか書かれています。では今回はそのうちのどれをみれば総合商社の収益源が分かるでしょう?
そうですね。収益を知りたいので、見るのは損益計算書です。ちなみに、財務諸表を会社は株主に公開しているので、ネットで見ることができます。今回は、「三井物産 有価証券報告書」で検索して、2018年三月期の一年分が入っている報告書でみてみることにします。(※四半期のものもありますが、細かいので業界研究では一年ごとにみれば十分かと思います。)
初めて見る人はどこから読めばいいのかさっぱりかもしれませんが、それもそのはずでこの有価証券報告書には会社のさまざまな情報がまとめられています。後半に水色が背景に入っている損益計算書が見つかると思います。この年度の時は160ページくらいにありました。
三井物産 損益計算書 当事業年度(自2017年4月1日 至2018年3月31日)
単位:百万円
さて、上の表は見やすいように抜粋したものです。では、さっそく、損益計算書を見てみましょう。

上から見ていって、最初に気になるのはどこでしょう?

「営業損失」ですよね。(△はマイナス、すなわち赤です)ざっと「1500億円の赤字」です。
え、じゃあどこで儲けてるの?焦らないでください。上から見ていくと、もう一つ気になる数字があるはずです。「受取配当金」ですね。4000億円近くあります。これで逆転です。一気に黒になりました。
最後まで見ていくと、やはり先ほどの受取配当金の大きさが商社の収益を支えていますね!!

では、この受取配当金って何でしょう?

総合商社の受取配当金って何?

総合商社はたくさんの会社に出資していますよね。三井物産であれば上の年度で、「連結決算対象会社の総数が472社」あります。出資の割合は様々ですが、これらの出資している会社からは、当然配当をもらいます。つまり、「サポートしているんだから、お礼をくださいな」というわけです。かなりアバウトですが、そうやって得られた配当収入の一部がこの受取配当金に入っているわけです。(※会計に詳しい方は、持分法投資損益の方にも持分収益が含められていることはご留意ください)つまり、たくさん出資しているから、三井物産単体では赤字でも、三井物産グループでは黒字なんですね。
ここで本題に戻ってみましょう!!
総合商社の収益モデルは何と何でしたっけ?「トレーディング」と「事業投資」でしたよね。今回、損益計算書をみたことで、総合商社の事業投資からあがってくる利益の大きさを実感できたのではないでしょうか?
これで興味を持った方は、ぜひ他の総合商社の損益計算書もみてみましょう!
(参考)
三井物産 第99期 有価証券報告書
https://www.mitsui.com/jp/ja/ir/library/securities/__icsFiles/afieldfile/2018/06/21/ja_99yuho.pdf