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総合商社という業態は日本特有です(似たような形を含めればアジア特有という言い方もできます。)今回は、総合商社の特徴をピックアップしてみていきましょう!

総合商社といえば何?

総合商社といえば何をしているところでしょう?少し考えてみてください!

一番最初に頭に浮かぶのは貿易ではないでしょうか。LNGを日本に届けたり、穀物を輸入してくるなど、やはり商社において「もののあるところからないところに届ける」貿易の役割は大きいです。しかし、貿易だけやっている会社は世の中にいくらでもあります。総合商社だけではないんです。

総合商社と他の貿易会社との違いは何でしょう?

みなさんはなんだと思いますか?ちょっと考えてみましょう!

答えは大きく分けて三つあります。
答え
①機械や原材料を産業に提供し、その一方で製品のための市場の開発も進めていく、産業でのかじ取りの役割も担っていることがあること
→平たく言えば、ただモノを届けるだけでなく、その「産業自体の発展のためにも尽力」しているということですね。
②販売権の獲得のための資金供与によって、多くの子会社・関係会社を持ち、持株会社的性格を備えていること
→ご存知の方も多いかもしれませんが、総合商社は様々な会社に出資しています。何か複数の会社でプロジェクトを行う時に、どの会社にも自分たちの仲間がいたら初対面でやるよりもずっとやりやすいですよね。このように、「様々な会社の株を持っていること」も総合商社の特徴です。
③近代的な経営管理システムを有すること
→これが一番難しいですね。わかりやすくいえば、組織や体制を重視しているということです。
これらの特徴があるからこそ、総合商社は他の貿易会社と違うんですね。特に②は「事業投資」というキーワードにも結び付くので、総合商社においてはとても大事な役割です。

世界に他に総合商社はないの?

世界には総合商社って他にないんでしょうか?

答えはイエスです。上のような特徴を兼ね備えた貿易会社は他にありません。一応、以下でフォーブス・グローバル2000の「Trading Company」のランキングです。

ご覧いただけばわかるように、上位を日本の総合商社が独占しています。韓国や中国の会社もランクインしていますが、厳密にいうとこれらの会社が先にあげた特徴を有しているわけではないので(特に三つ目の特徴)、日本の商社は世界的に見ても特殊な業態であるといえます。
※韓国のハンファも火薬から始まって事業を多角化してきているので、かなり似ている業態です。区分けによっては、ハンファも総合商社だという区分けもあるのでその点はご留意ください。

まとめ

・総合商社が他の貿易会社と大きく異なる特徴を三つあげました。他と違うということは、そこが差別化されている部分なのできちんと認識しておきましょう!
・世界でも総合商社という業態そのものが珍しいことを紹介しました。日本にしかない業態だからこそできることもあるのかもしれません。みなさんのさらなる業界研究に役立ててください!

発展編 裏話

このコラムでは主に、上記のように総合商社と一般の貿易会社との違いに注目しました。ここからは知りたい人だけで構いません。丁寧に分類すると総合商社の機能を貿易の側面を含めると以下のようにあげることができます。
①商取引機能
②物流(流通)機能
③市場開拓機能
④金融機能
⑤事業開発・経営機能
⑥リスクマネジメント機能
⑦情報機能
→世界各地に置かれた支社から生の情報を常に収集することができる機能です。
⑧オーガナイズ機能
(参考)
・The World’s Largest Public Companies (Lists: Trading Company, All Countries, All States)
https://www.forbes.com/global2000/list/#industry:Trading%20Companies
・川辺信夫1991年「商社」
・浅野展正「総合商社の存在意義についての考察」
http://www.u-hyogo.ac.jp/mba/pdf/SBR/3-2/001.pdf