講演レポート

「ウェルビーイングの実現に向けて、日本が今すべきこと」

本レポートは、2022年9月28,29日に開催された、「ウェルビーイングリーダーズサミット by ミキワメ」の基調講演の文字起こしです。ウェルビーイングを牽引する様々なリーダーにご登壇いただき、組織に関する様々なテーマとウェルビーイングの結びつきについてお話しいただきました。

飯田:このあとの時間では、マーティン・セリグマン先生にご登壇いただきます。本講演について深くご理解いただきたいため、講演会の前にセリグマン先生についてご紹介したいと思います。

セリグマン先生の紹介

セリグマン先生は、ペンシルベニア大学で教授を務められ、ポジティブ心理学の創設者ということに加え、アメリカ心理学会でも会長を務められています。我々の業界では知らない方がいないぐらい世界的権威の方です。

それでは皆様、講演をお楽しみください

セリグマン:皆さん、こんにちは。ウェルビーイング・リーダーズ・サミットの講演にお招きいただきありがとうございます。

今日の私のテーマは、ポジティブ心理学の幸福(=ウェルビーイング)の問題で、特に「日本は今以上に幸福になれるのか?」ということを問いかけたいと思っています。これが今日のテーマです。

最初に、このスライドを覚えておいてください。今から30分後ぐらいに参考にするつもりです。それでは、本日の講演で私が話すことの概要を説明していきます。

講演の概要紹介

まず、フロイトやショーペンハウアーは、人生でできる最善のことは「惨めでないこと、苦しまないこと」だと言っています。私達にできる最善のことは、自分の不幸をできるだけゼロに近づけることでした。今日の講演のテーマは、「そのような考え方は間違っていると思う」という内容です。経験的に間違っているのです。

道徳的に陰湿であり、国家や人間にとって行き詰まりを感じさせるものです。それに対して私は、人生には惨めなこと以外にも多くのものがあることを提案しようと思います。ウェルビーイングがあることは、個人・企業、さらには日本の目標としても妥当なものです。

そのために、まず「進歩の時代」について10分ほどお話しします。直近の220年間に世界で起こったことについてです。それを知ることは非常に重要であり、進歩した世界に対してこそ、ポジティブ心理学は意味を持つのです。それから、学習性無力感やうつ病についてです。「無力感や憂うつ感を超えられるのか?学習性楽観主義になれるのか?」という点を話していきます。

そのあとは、ポジティブ心理学に関するお話です。まず、ポジティブ心理学の測定法について話していきます。現在私達は、ウェルビーイングを有効かつ信頼性をもって測定できるのです。

次に「個人、企業、学校、そして国家が、より良く成長するためにできる処置はあるのか?」という疑問に対して話していきます。答えはイエスで、そのために重要な舞台のひとつがポジティブ教育の学校です。これから45分間、こうした内容を話していきます。

進歩の時代

それでは「進歩の時代」について、1つの質問から始めましょう。「世界には人類の進歩があったのか?」という問いです。なぜそれを問いたいかというと、多くの人が「世界には大きな進歩がなかった」と考えているからです。

世の中が良くなっていると思う人の割合について、世界規模の調査が実施されました。世界が良くなっていると信じている人が、50%を超えている国はありません。中国が41%と最も高い割合です。これは中国の若者が、生涯を通じて繁栄を享受してきたことが大きな理由です。それ以外の国を見ると、この割合は減少しています。

たとえば、ヨーロッパの中でフィンランドやデンマークはウェルビーイングが最も高い国ですが、ノルウェーでは8%の人しか世界が良くなってきていると考えていません。一方、アメリカでは6%の人たち、イギリス、ドイツ、オーストラリア、フランスは4%の人たちしか「世界は良くなってきている」と考えていません。

日本はどうだと思いますか?統計によると、中国に次いで日本は、21%の人が「世界は良くなってきている」と考えているようです。あなたは世界が良くなっていると思いますか?

世界の統計を見ていきましょう。過去220年間の変化です。これは、極度の貧困で暮らす人々の世界的な割合を示しています。今から220年前の1800年には、世界の90%の人口が1日2ドル以下(インフレ調整済み)で生活していました。

2015年、1日2ドルで生活している人は世界のわずか9%でした。世界の9%が極度の貧困状態にある中で、日本はどのくらいだと思いますか?日本の割合が一番小さいのです。日本で極貧生活を送っている人は1%未満ですからね。この統計において、日本は世界で一番低い割合に近いのです。

220年前の1800年の識字率を見ると、90%の人が読み書きできませんでした。一方、2016年には86%の人が読み書きできています。日本はどうでしょう?日本では何%の人が読み書きできると思いますか?

日本では99%の人が読み書きでき、これは世界一です。これが進歩です。

オゾン汚染は、今から50年前の1970年にさかのぼります。1970年のオゾン破壊量は166.3万トンでした。今は2.2万トンにまで減っています。

女性の参政権について。進歩は物質的な側面だけではないのです。1893年当時、女性に参政権を認めていたのは、たった1か国だけでした。ご存知でしたか?

2017年、2つの国だけが女性の選挙権を認めませんでした。1つはサウジアラビアで、もう1つはバチカンです。

自由と民主主義について。200年前の1816年には、世界の1%の人が民主主義国家に住んでいました。2015年には日本を含む世界の56%の人が民主主義国家に住んでいます。もちろん1816年の日本は、民主主義国家とは程遠いものでした。

続いて飢餓についてです。1970年からの最近の統計ですが、50年前には世界の28%が栄養不足でした。それが2015年には、世界の11%だけが栄養不足という結果になっています。

子供が亡くなることは、人に起こりうる事態の中でも最悪なもののひとつです。1800年には、子供の44%が5歳までに死亡しています。2016年には、5歳までに死亡した子供はわずか4%になりました。日本ではどれくらいでしょうか?日本での割合は0.25%で、世界で最も低い割合です。

これはウクライナ侵攻前ですが、見てみましょう。1945年から平和になったので、今年の2月までの戦死者数は歴史上最も低い割合でした。

ロシアがウクライナに侵攻してからは、多少上がっています。しかし、それでも年間選死者数はこれまでとは格段に少ない状態です。また、1500年から1950年までは、平均して年に1回は大きな戦争がありました。一方、1950年から今年の2月までは、大国間の大きな戦争は一度もありませんでした。

1850年、194か国中148か国で天然痘が流行していました。それが今は、天然痘は実験室の中だけに存在している状態です。

1920年には、地球の0.03%しか保護されていませんでした。今では、地球のほぼ15%が保護されています。

創造力、音楽について。1860年には、1曲の新曲が著作権で保護されていましたが、2015年には600万曲の新曲が著作権で保護されています。

要約すると、物質的、道徳的のほぼすべての側面で進歩があり、人類の進歩は莫大なものでした。それでは、人類の進歩とウェルビーイングの関係はどうでしょうか?日本の現状を見ていきましょう。

日本における精神疾患と生活満足度について

ここからは、日本における精神疾患と生活満足度について、私が持っている良質な統計を用いて説明していきます。

最新の統計によると、現時点で日本人の2.3%がうつ病と診断されているそうです。そして、4.9%が不安障害と診断されています。すべて合わせると、現時点で日本の7.6%の人が精神疾患に罹患していることになります。精神疾患に関する日本の統計値は、欧米の統計値よりもかなり優れています。

しかし、日本では人生の満足度が低いのです。世界で実施した調査があります。自分の人生にどれくらい満足しているかを、1から10までの尺度で測ります。1が「私の人生はひどいもので、まったく悲惨なもの」で、10が「私の理想の人生」という評価です。

世界の平均的な生活満足度は、約7.1です。一方、日本は生活満足度が6.1と非常に低い結果でした。まとめると、日本の精神疾患は欧米に比べるとかなり低い状態ですが、生活満足度は欧米よりはるかに悪い状態です。

そこでポジティブ心理学に行き着くわけです。もし私が30年前にこのように、あなたの人生と日本の目標であるウェルビーイングについて講演していたら、あなたは耳を傾けるべきではありませんでした。なぜなら、過去の私達の理論はすべて「悲惨さ」に関するものであったからです。幸福を測る尺度もなかったのです。

あったのは「どれくらい間違っているか」を測るもので、「どれくらい合っているか」ではありませんでした。また、ウェルビーイングを向上させる薬理学的・心理学的な処置もありませんでした。それがこの30年で、ポジティブ心理学が隆盛したことで変わりました。

まず、ウェルビーイングの理論があります。次に、ウェルビーイングを測る尺度があります。そしてこれも非常に重要なことですが、ウェルビーイングは原動力に繋がる「原因」です。ウェルビーイングや幸せは、世界からもたらされる「結果」ではありません。

ウェルビーイングが高い人は、社会でもうまくいきます。そして最も重要なことは。ウェルビーイングを確実に向上させる方法があるということです。

ウェルビーイングとは何か

それでは、ウェルビーイングとは何かについて話していきます。私の考えでは、ウェルビーイングには5つの要素があります。日本でウェルビーイングを高めるためには、この5つの要素それぞれを高められるのかがポイントになります。

まず1つ目は、ポジティブな感情。主観的なウェルビーイング、幸福感です。2つ目はエンゲージメントです。これは、時間が止まっているように感じたり、音楽と一体になっていたり、集中しているなど、フロー状態にあることを指します。

3つ目の要素は、良好な人間関係、肯定的で支えとなる人間関係です。4つ目が「重要であること」と「目的を持つこと」です。そして最後の5つ目は「自己達成」です。

つまり、日本でウェルビーイングを高めるというと、①幸福感、快感 ②高いエンゲージメント ③人間関係 ④存在意義、目標 ⑤達成感を高める、といった要素が必要になります。それが理論上の目標です。

PERMA尺度

ウェルビーイングを測る非常に優れた尺度があります。世界中の主要な国から500万以上の人々がアクセスしているウェブサイトがあり、そのサイトではPERMAを無料で測定できます。日本語にも翻訳されているので、もしあなたが自分のウェルビーイングを知りたいのであれば、「authentichappiness.org」を訪問してみてください。

PERMA測定を受けると、日本の他の人たちと比べて自分がどれだけ幸せかを知れます。あなたがどの程度のエンゲージメントを持っているか?人間関係は良好か?人生にどれだけの意味があり、どれだけの達成感があるか?といった点がわかります。

ウェルビーイングを測る理由は、人々にもっと幸せになってほしいからですが、幸せは必ずしもそれ自体が目的ではない、ということを知るのは非常に重要です。幸福が原因となって、人生に良いことを引き起こすのです。

健康であること、良い環境であること、仕事で成功することが幸せであることはご存じですよね。私が言っているのは、そういうことではありません。私が言っているのは、幸福は将来的にどのように影響するのか?ということです。

ウェルビーイングが高いと、たくさんの良い結果が得られることがわかっています。そこで、ここからは「主観的ウェルビーイング」が高い場合の結果について話していきます。

主観的ウェルビーイングが高い場合

まず、より幸福な人は、平均して身体的な健康状態がよく、長寿になります。幸せな人は、不幸な人より6〜9年長生きします。そしてその健康状態を維持できます。

第二に、幸せな人は社会的関係が良く、幸せな人は不幸な人よりも好かれます。次に、幸せな人は仕事でも良い結果を残します。仕事場ではより良い従業員であり、生産性もより高くなるのです。

次に、幸せな人はより良い市民です。より徳の高い行動をとり、よく多くのお金を慈善事業に寄付します。政治的な活動も活発で、ボランティア活動も盛んです。

さらに、幸せな人はより創造的です。より革新的なのです。そして非常に重要なのは、コロナ禍のような悪い出来事が起こったとき、幸せな人は立ち直りが早いということです。より回復力があるのです。

今説明したことは、千をはるかに超える研究に基づいています。そのうちいくつかをご紹介しましょう。

長生きとの関係を見ていきましょう。運動・禁煙・幸福感については、4つの大規模横断研究があります。定期的に運動すれば、平均して3年寿命が延びます。タバコを吸わなければ、平均で6.8年寿命が延びます。

一方、幸せな人であれば平均で7.6年も寿命が延びます。つまり、幸せな人であることは、タバコを吸わないことと同じくらい、長く生きるために重要なことなのです。

さらに健康に関する結果を紹介します。幸せな人ほど長生きし、免疫力が高く、炎症や循環器疾患も少ないのです。そしてそれは、楽観的な人ほど顕著です。

つまり、「幸福」は感情的な状態であり、未来が良いものであるという信念の「楽観」は、認知的な状態です。循環器疾患については、楽観的であれば循環器疾患が少ないことを予測できるものの、幸福感はあまり良い説明因子ではないことが判明しました。

一方で、幸福な人は不幸な人に比べてウイルス性細菌感染症が少ないのです。楽観主義は、これには影響を及ぼしません。テロメアという体内物質を測定すると、幸せな人はテロメアが長くなります。

傷口を見たとき、指に針を刺して治るまでにどれくらいかかるか聞いてみると、幸せな人ほど傷の治りが早いのです。そして、幸せな人は健康行動も良好です。ダイエットや運動、医療行為も、不幸な人たちよりもよくやっています。

そして次に、社会的行動に関してです。幸せな人は結婚しやすく、幸せな結婚生活を続けやすい。また、雇用を維持しやすく、性行為も多く子供をたくさん産みます。もしあなたがポジティブ心理学に精通することに興味があるなら、ペンシルバニア大学で提供している5つのコースが最適です。

私が教える基本的なポジティブ心理学の5つのコースが、丸々100ドル程度で受けられます。アンジェラ・ダックワース教授はグリットについて、カレン・ライビッチ教授はエクササイズについて教えています。ウェブサイトのCourseraで、ポジティブ心理学の5つのコースの証明書を取得可能です。私が知っているポジティブ心理学のトレーニングの中で、最も簡単で最も完成度の高いものといえます。

生産性と幸福度に関する研究

皆さんの多くは企業側の人なので、生産性と幸福度に関する重要な研究についてお話しします。

これは従業員の幸福度に関する研究で、73か国にある230社・8万ユニットの約2百万人の従業員を対象にしています。

これが結果です。従業員の満足度が高ければ 、顧客ロイヤルティ・生産性・収益性が上がり、仕事に留まりやすい傾向があります。もし日本で幸福度を高めようと思っているのに、あなたが幸福度に関心がなく、生産性に関する経済だけを気にしているのだとしたら注意が必要です。

これは、次のことを物語っています。幸せな人々はより生産的な企業を生み出し、より生産的な経済を生み出すのです。さて、問題は幸せが教えられるかという点です。そして、より多く得ることは可能なのでしょうか?

答えは「教えられる」です。楽観主義を教えることについて話す時間はありませんが、悲観的な人々を取りあげた多くの文献があります。そこでは悲観的な解釈について取りあげ、最も悲観的な解釈に対して現実的に反論することを教えてくれます。そうすると、人々は楽観主義を学ぶことになるのです。

もう1つのやり方は、人間関係のテクニックです。講演の冒頭で見せた白鳥を思い出してみてください。マリエッジカウンセリング(パートナー関係のカウンセリングを行う場所)では、以前は建設的なケンカの方法を教えていましたが、今はその代わりに、より良いお祝いの仕方を教えています。

これは「キャピタライジング」と呼ばれるテクニックで、「あなたの配偶者や愛する人が、何かとてもうまくいった出来事について話してくれたとき、あなたはどう言いますか?」という質問です。そこでわかったことがあります。

スワンを撮影した私の妻マンディは、モノクロ写真のアマチュアです。数年前、彼女が私のところにやってきて「世界のモノクロ写真誌をリードするblack and white magazineの編集者マーティーから電話があって、私がコンテストで1等を受賞したらしいの!」と言いました。

さて問題は、愛する人が自分の身に起こった勝利や良い出来事について話してくれた時、あなたが何を言うのかです。多くの人が、そして私も文献を読むまでは、受動的で建設的な言葉を言いました。たとえば「おめでとう」「あなたはそれにふさわしい」といったようにです。しかし、それらの言葉は何の効果もありません。

またある人は、消極的で破壊的なことを言います。たとえば「晩ごはんは何?」といった感じにです。私は、アメリカ陸軍のドリルサーガント(軍隊の新兵訓練係)を4万人訓練してきました。彼らはアクティブで破壊的なことをします。彼らだったら、「その賞のおかげで、私達の税制がどうなるか知っている?」などと言うでしょう。

関係性をうまく構築するのは、積極的で建設的なものです。マンディとの会話の中で教わったことを紹介します。まず、私はその賞がどのようなものか知っていることを示し、「ブレナムで撮ったあの白鳥が賞を受賞したんだよね?」と聞きました。するとマンディはそうだと言い、私は「今まで見た動物のモノクロ写真の中で一番いい」と言いました。

あなたがすべきことは、あなたの愛する人が今起こったことをよりよく理解できるように努めることです。そこで私はマンディに言いました。「black and white magazineの編集者から電話があった時、あなたはどこにいたの?」と。さらに「ニューヨークタイムズのフォトジャーナリストたちを抑えて受賞したのは、あなたの写真のどんなところが優れているからだと思う?」と聞いてみました。彼女は「私はグレーのニュアンスを表現するのがとても上手だ」と答えました。

答えを受けて「その強みを活かして、子供たちの写真をよりよく指導するにはどうしたらいいだろうか?」と聞きました。彼女は、それをどう子供たちの講座に活かすかを教えてくれました。そして私は「冷蔵庫に眠っているシャンパンのボトルを開けよう」と提案しました。

人々が積極的で建設的な対応をすると、愛とコミットメントが増加し、セックスが良くなり、離婚が減少することが判明しています。それでは、よりウェルビーイングを高めるために日本に必要なことは何か、これまで述べてきたことを整理してみましょう。

日本でよりウェルビーイングを高めるために必要なこと

日本は世界と比較して、精神疾患は非常に低いと申し上げました。日本の悪い点は、生活満足度が非常に低いこと、ウェルビーイングが低いことです。では、日本がよりウェルビーイングになるために必要な要素とは何でしょうか。

精神的な負担を減らすため、そしてより多くのPERMAを得るために必要なことは「測定」です。今のPERMAのレベルを、個人・企業・日本単位で測らないといけません。

第二に、より確実な効果をもたらす方法がたくさんあります。『ほんものの幸せの見つけ方』や『ポジティブ心理学の挑戦”幸福”から”持続的幸福”へ』という私の著書にも書かれています。

まずは学校から始めるのがよいでしょう。ポジティブ教育という運動があります。学校に行き、測定と処置について教師に教えています。中学生だと10歳、11歳くらいからがベストで、高校ではPERMAのテクニックやポジティブ教育を教えています。

講演まとめ

それでは、最後に講演をまとめます。まず、この220年の間に、多くの人が思っているより、世界はずっと良くなってきたということです。進歩の時代が功を奏したのです。このような背景から、私達はこの進歩を利用して「あなたの人生とあなたの会社に、もっと幸福をもたらせないか?」という問いを立てられます。

そして最も重要なことは、より高いPERMAを日本全体の新しい政治的・社会的目標にできることです。世界は変わりつつあり、世界中の人々がウェルビーイングを測定し、学校や企業でセラピーの処置をしている状況です。世界はウェルビーイングに高い関心を持っており、日本はそのリーダーになり得るのです。

そしてこれは、この講演をお聴きいただくうえで最も重要なことのひとつです。世界がよりウェルビーイングが高い方向へ向かうのを目撃できるだけではありません。あなたの人生、生徒の人生、日本の人生を、よりウェルビーイング高く変えることに、あなた自身が参加することは保証されているのです。

最後に、人類の未来について2つの異なる見方を紹介しましょう。新型コロナウイルス流行のあと、人々が心配しているのは「私達の未来はどうなっていくのか?」ということです。ちょうど100年前、ウィリアム・バトラー・イエーツは、アイルランド紛争のさなかに、これから起こることを悲観的に表現しました。

彼は問いました。「凶暴なる野獣が、その時が巡ってくれば夜に這い出ようと、ベツレヘムに向かって身をかがめているだろう」と。これは、多くの人が人類の将来について考えていたことでした。

一方で、650年前のノリッチのジュリアナの言葉を紹介します。1360年、イギリスは黒死病(ペスト)流行の真っ只中でした。ジュリアナは修道士でしたが、女性でした。ジュリアンと名乗り、ヨーロッパ史上最悪の疫病を生き抜きました。そして、彼女は未来について問います。「汝、艱難辛苦を受けることなかれ」とは言わなかった。「汝、天変地異に遭うことなかれ」とは言わなかった。「汝、病気にかかることなかれ」とも言わなかった。「汝、打ち負けることなかれ」と言ったのです。同時に「うまくいくであろう」とも言った。「万事うまくいくであろう」と。

ご清聴ありがとうございました。

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