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間接部門とは?役割と重要性について

「間接部門」とは、直接の収益に関わる「直接部門」をサポートする部署です。
企業を支える重要な部署であるものの、インターネット上で「間接部門」と検索すると、「いらない」「多すぎる」などの言葉が続き、否定的なイメージを持っている方も少なくありません。

企業にとって間接部門とは、どのような役割を果たすものでしょうか。
この記事では、間接部門に関して、種類や問題点、今後の改善策などを踏まえながら解説していきます。

間接部門とは

間接部門では、基本的に企業の直接の利益につながる業務はありません。
しかし、企業と社員を後方から支援する、なくてはならない業務を担当する部門です。
「バックオフィス」「縁の下の力持ち」として企業を支える間接部門について、まずは基礎知識からみていきましょう。

直接部門を支援するのが間接部門

間接部門は、売り上げに直結する「直接部門」の業務サポートを担う部署です。
直接の利益に関わることはなくても、社員研修の実施や職場環境の改善など、組織全体が機能するために欠かせない業務を担当します。

品質管理や営業支援などの業務が、顧客満足度の向上や営業の効率化などに寄与していることからも、間接的に企業の業績に影響を及ぼしているのが間接部門といえるでしょう。
直接部門の業績を最大化するために、間接部門は企業に必要不可欠な存在です。

間接部門と直接部門の違い

直接部門は、業務が直接業績につながる部門を指します。営業や販売を通じて商品を直接売る部署や、商品を製造する部署などが直接部門にあたります。
一言でいうと、直接部門は「花形部門」であり、間接部門は「縁の下の力持ち」と表現できるでしょう。

直接部門では、商品の売れ行きが最も重要です。そのため、直接部門では新規顧客の獲得数や商品の製造量・販売量など具体的な数値目標を掲げながら業務に取り組む傾向にあります。

一方、間接部門は数値目標化しにくい業務を担っています。
直接部門が定量的な目標を掲げるのに対し、間接部門は「直接部門のサポート」「職場環境の改善」といったように、定性的な目標になりやすいのが特徴です。

間接部門の種類

直接部門を支援する間接部門について、ここからは代表的な部署を6つ紹介します。

間接部門1:人事部

人事部は、人材に関する業務を担う部署です。
中でも一番重要な業務は「採用業務」です。新卒採用はもちろんのこと、即戦力となる中途採用も企業競争力を高める鍵となっています。

人事部は上層部と意思疎通を図り、最適な人材戦略の構築を求められる仕事です。
そのほか、昇進や退職、人事異動に関わる手続きや、人事評価、給与にも関わっています。

間接部門2:労務部

労働に関する事務処理を担当するのが、労務部です。
会社は、経営する側と雇用される側に立場が分かれます。雇用される側の社員たちの職場環境を整えるのが、労務部の主な仕事です。

具体的に労務部では、労働契約や社会保険の手続き、給与計算、休業規則などの事務手続きを担当しています。企業の安全衛生管理も担っており、健康診断の実施や社員データの管理、労働基準監督署への報告業務などが代表的な取り組みです。

間接部門3:総務部

総務部は、企業内の事務全般を担当する部署です。
業務の担当範囲は企業により異なりますが、基本的には他の間接部門が扱っていない事務作業を、広く手がけています。

主な業務内容としては、会社施設の管理、美品や消耗品の管理、社内行事の企画・運営などが挙げられます。
なんでも屋のように見られがちな部署ではありますが、部署間のスムーズなやり取りをもたらしたり、会社全体をまとめたりする重要な役目を担っているのが総務部です。

間接部門4:経理部

経理部は、企業活動で発生するさまざまなお金の動きを収集し、管理する部署です。
日々の売上や支出などの情報は経理部に集まり、必要に応じて請求書や領収書を発行します。また、整理した会計データから決算書や財務諸表を作成するのも、経理部の役目です。

経理部では専門知識が求められる一方で、定型業務も多いため、自動化が進んでいる部署でもあります。

間接部門5:法務部

法務部は、企業活動に関連する法律分野を担当している部署です。
一昔前と比べ、企業は厳格なコンプライアンスを求められるようになりました。そのため、法務部の存在はますます重要になっています。

法務部の主な業務としては、契約法務やトラブル・訴訟対応、コンプライアンス対応などが挙げられます。

間接部門6:情報システム部

情報システム部は、企業のITに関わる部門です。これまでは自社にサーバーを設置してのシステム運用が主流でしたが、最近ではクラウドサービスを通じたアウトソーシング化に踏み切る企業も増えてきました。

主な業務は、IT戦略の策定や情報インフラの整備、ヘルプデスク、セキュリティ対策、情報資産管理などです。

間接部門の課題

企業への貢献度が可視化しにくい点は、間接部門にとって悩ましい問題です。成果がはっきりしないことから、業績が悪化した際、間接部門の従業員が人員削減の対象となることも珍しくありません。

ここからは、間接部門の抱える問題や課題について解説します。

課題1:直接部門と対立しやすい

間接部門は、直接部門の理解を得られにくい部署です。間接部門が直接部門へ業務改善を提案しても、「現場の意見を反映していない」「机上の空論だ」などと批判されることもあるでしょう。
実際に、現場を把握していない状況で打ち出した施策が、直接部門に受け入れられず対立を生むケースも少なくありません。

業務結果を数値で評価している直接部門と、減点方式に近い形で評価しがちな間接部門とでは、業務に対する考えのズレが発生することも珍しくないでしょう。

課題2:人事評価がわかりにくい

間接部門では、加点評価の難しい業務が多いことから、「入力ミスが少ない」「提出期限を厳守する」など、完璧な業務遂行を判断基準にした減点方式の評価が主流になっています。
そのため間接部門では、失敗を恐れてチャレンジを控える傾向にあり、大胆な業務改革の導入が困難な部署といえるでしょう。

加えて、評価を数値化しにくいことから、上司の好き嫌いで評価が決まる不本意なケースも存在します。
個人の感情をもとに評価が行われてしまうと、不満を持つ従業員が現れ、社内全体のモチベーション低下にもつながります。
公平に評価するためにも、貢献度を客観的かつ公平に評価する人事評価の導入が重要です。

課題3:人員整理されやすい

機械的で定量的な業務の多い間接部門は、アウトソーシングやAIツールなどが導入しやすいことから、人員削減が発生しやすい部署といわれています。
昨今の急激なIT技術の進歩により、これまで人間が担当していた業務もAI化が可能なケースも増えてきました。間接部門の業務は、AI化によって効率化が図れるものも少なくないため、リストラ対象となりやすいのです。

ただし、人事や総務の部署では、機械化できない業務も多数存在します。そのため、間接部門で働く社員としては機会化の難しい業務に存在価値を見いだし、自身の能力やスキルを磨く努力が重要といえるでしょう。

間接部門が取り組むべき改善策

企業の発展と共に、間接部門は肥大化していく傾向にあります。しかし、間接部門の肥大化は人件費を圧迫し、企業の成長を停滞させる要因になりかねないため、適切な対応が重要です。

ここからは、間接部門が抱える課題への改善策について説明します。

改善策1:業務の縮小化

海外を視野に入れた企業の多角化が進んでいる現在、間接部門の縮小と効率化は避けては通れない企業の課題です。

人員を減らしても業務に支障をきたさないように、アウトソーシングサービスなどの導入も検討してみましょう。
アウトソーシングサービスの人材にルーチンワークを任せ、自社の社員をコア業務に集約できれば、業務専門性の向上やモチベーションアップを図れます。

改善策2:目標の数値化

間接部門は直接部門とは異なり、目標を数値化できない業務が多い部署です。しかし、企業が適切に社員の働きを評価しなければ、間接部門の社員はやる気を失くし、会社へのエンゲージメントも低下してしまうでしょう。

間接部門であっても、目標の数値化は可能です。例えば、「削減に成功した経費額」「クレーム対応件数」「業務改善策による社内インパクト(短縮された作業時間)」などが挙げられます。

具体的な数値目標を設定できれば、間接部門の社員も目標達成に向けて精力的に働けるようになるでしょう。また、成果を可視化することで経営者やマネージャーも間接部門を客観的に評価できるため、間接部門の重要性を再認識することにもつながります。

改善策3:知識やノウハウの共有

間接部門の課題は、業務が属人化しやすい点です。「○○さんが知っているから大丈夫」などと、担当者ひとりだけにノウハウが蓄積されていく状況だと、担当者の不在時や退職時に業務対応できません。
間接部門の生産性や効率性を高めていくためにも、社員個人が身につけた知識やノウハウを組織で共有できる体制を作っていきましょう。

情報共有の手段として、おすすめなのが業務マニュアルの作成です。業務の流れだけを説明するのではなく、作業経験者の失敗事例や成功事例を盛り込んでおくと、社内のノウハウ共有が促進されます。

改善策4:AI技術の導入

いまやその存在なしに企業を語ることはできない「AI技術」は、間接部門の属人化問題解決の重要な鍵を握っています。

ルーチンワークや細かい作業はAI技術を用いて自動化し、最終チェックだけを人間が行うことで、大幅な効率化が期待できるでしょう。
他にも「生産管理システム」「勤怠管理システム」「営業管理システム」などのツールや、RPA(ロボットによる業務自動化)の導入も、業務効率の改善に効果的です。

間接部門のこれから

間接部門は、企業活動と営業活動の土台を支える「縁の下の力持ち」のような存在です。円滑な業務遂行を図るためには、直接部門との相互理解は欠かせません。

間接部門が企業から求められる役割も、DX(デジタル・トランスフォーメーション)化の影響で刻々と変化しています。
IT技術の導入で人員削減が必要となった場合のことを、企業はあらかじめ念頭に入れておく必要があります。

別の部署に配属しても社員が活躍できるように、企業は社内研修や勉強会の機会を積極的に提供するよう心がけましょう。
また、社員の適性を試すために期間限定で別の部署で働いてもらうことも、社員のキャリアアップを促す意味でも有効です。

まとめ

間接部門は直接部門とは異なり、売り上げに直結しない部署です。裏方として企業を支える存在であることから、直接部門との対立や、客観的な評価の難しい点が課題といえます。

間接部門が有効に機能するためには、社員の貢献度を客観的に評価できる人事制度の導入や、IT技術を用いた業務効率化が重要です。

直接部門・間接部門の連携体制を強化し、より強固な企業づくりを目指していきましょう。

参考:
「間接部門」とは?役割や直接部門との違い、今後の課題までご紹介 | BizHint(ビズヒント)
直接部門・間接部門の特性と傾向の違いとは? | コンテンツ
【専門家監修】間接部門である人事労務の重要性とは?役割や生産性向上施策を徹底解説!
間接部門とは?直接部門との違いや役割、生産性向上のための目標設定 – banso.
間接部門とは|7種の間接部門の役割|間接部門の5つの課題 | WORK SUCCESS
間接部門改革の 基本的な考え方と進め方 | コンサルタントコラム

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